2012/01/21
『逆ハーレム効果』 - 少女の主人公像 -

2011年の春に放送されたP.A.WORKSのオリジナル作品 『花咲くいろは』 の主人公 松前緒花。
前向きな主人公でしたが、作品の中で緒花の成長が明確に描かれていたかというと、必ずしもそうではありません。
むしろ成長しているとすれば鶴来民子や押水菜子、和倉結名など、サブキャラのほうが一歩一歩着実に進んでいた印象を受けました。
受ける印象は様々だとは思いますが、『花咲くいろは』 が示す通り花咲く初歩の段階、つまり 「成長の初期段階」 が描かれていました。
課程としては、緒花がひたむきにぼんぼる姿に影響されたサブキャラ達が、自分自身を見つめ直し少しずつ成長していた。
そんなサブキャラの成長を目の当たりにした緒花があとを追うように自覚し、成長する一歩手前の段階で物語が終了した感じです。
一般的な 「ハーレム状態」 は魅力に惹かれたキャラが主人公に向かって集結してきます。緒花も同じく魅力を周りに与えていますが
結果的に周り与えた魅力に影響されながら自覚に至るわけですから、作用とすれば 「逆ハーレム状態」 となっているような気がします。

これを仮に 「逆ハーレム効果」 とした場合、今期の 『ラストエグザイル-銀翼のファム-』 『戦姫絶唱シンフォギア』 『輪廻のラグランジェ』 など
前向きな少女を主人公にした作品と共通する部分が見えてきます。どの主人公もひたむきに努力はするが、いつも空回っている印象ですよね。
なぜそうなるかというと 「何のために努力をして、努力をした結果どうなるか。」 それがほとんど理解できてないまま努力を続けるからなんですね。
それが男の主人公だとただの中二病と呼ばれますが、女の子になると自覚がないことが少女性や可愛らしさにつながってくるから魅力的に見える。
さらに 「逆ハーレム効果」 によって成長の奥深さやサブキャラの魅力も引き出せる。ファム・ファン・ファン、立花響、京乃まどかも緒花と似ている。
無自覚で根拠の無い努力が周りの人に影響を与え、周りの人の努力する姿を見て努力する意味を見つける。「逆ハーレム効果」 は現実にも通じます。
自分のためだけに努力をする人、相手のことばかり気遣って自分のために努力をしない人、そういう人は自分がなぜ成長しないのかいつも悩んでいる。
わからなくても結果が出なくてもいいからとりあえず一生懸命努力を続けていれば、いつか周りの人が認めてくれて、報われる日が来ることを知らない。
少女達が何を思い、何を感じるか?それを視聴者が共有することで 「今できる努力・明日の活力」 を見い出してもらおうという意図があるんだと思う。
「努力すれば何とかなる」 といういかにもスポ根みたいな描かれ方が廃れた今だからこそ、少女達の目線を通して何かを伝えようとしているのだろう。
何を汲み取り、何を受け取るのかは人それぞれ違いがあると思う。でも今描かれている主人公が若い人達に希望を与えてくれることを切に願っている。
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