物理的領域の因果的閉包性

偽物語 第5話 「かれんビー 其ノ伍 - Batesian Mimicry -」


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阿良々木火憐と貝木泥舟がいたカラオケボックスの壁に描かれた一万円札。そこには 『赤瀬川』 の文字。
これは1965年から1967年に前衛芸術家の赤瀬川原平が千円札を印刷したことで行われた 『千円札裁判』。
それをパロってます。そして一万円札が燃えるところも、赤瀬川が印刷千円札を灰皿で焼いたことに由来?
それは定かではありませんが、模造取締法違反なのか芸術なのかの争い。「正義か悪か」 ということですね。

貝木泥舟が火憐に言った 「くだらん正義感」。暦の言う 「正義の味方ごっこ」 と同じ意味合いなんでしょうね。
月火が暦に言った 「プチムカつく」 から進化したという 「プラチナムカつく」 も、どこかニュアンスが似ています。
プチというと小さいイメージですが、プラチナと言い換えることで大きいイメージへと変わる。言葉のアヤですね。

カラオケボックスの壁に描かれた白黒の縞模様は、警告色と言われる蜂の黄色と黒の縞模様を連想させます。
蜂がなぜ縞模様なのかというと、周囲の景色に溶け込むためと、色や形を危険な虫に似せて敵を欺くためです。
でも本当に危険な蜂は一部の種類だけ。つまりその他の種類は 「強い蜂の姿に似せている」 と言えるわけです。
昆虫が別の昆虫の姿を真似ることを 『擬態』。弱い昆虫が強い昆虫の姿に似せることを 『ベイツ型擬態』 という。

月火が 「プチ」 を 「プラチナ」 と言うこと、火憐が 「くだらん正義感」 を振るうこと。それらは 『擬態』 と言える。
子供が大人ぶって見栄や虚勢を張ること。それが 『擬態』 であるなら 「偽の姿を装っている」 ということになる。
暦が火憐に言ったセリフ 「お前がそういう姿勢でいる限り迷惑するのは周りなんだぜ」 がすべてを総称している。
火憐たちがやっていることは貝木と何の遜色もない詐欺行為であり、偽りの正義に弄ばれているだけなんだろう。

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