物理的領域の因果的閉包性

花咲くいろは 第9話 「おもてなし」


『おもてなし』 は 『もてなす』 の丁寧語であり、語源は 「モノを持って成し遂げる」 と 「表裏なし」 の2つの意味から成り立っているそうです。
「持って成す」 ものを茶道で例えるなら 掛け軸、絵、茶器、匂い(御香) など身体に感じ目に見える 『もの』 と 言葉、表情、仕草 など目に見えない 『こと』 の2つに分かれるらしい。
つまり喜翆荘の建物、花や絵などの装飾品、料理などが 『もの』。 お客様との会話、表情、仕草などが 『こと』 にあたると思います。

そしてここで重要なのは 「持って成し」 たものが花にもある点です。花は喜翆荘のピンチに菜子を呼び出し、徹も呼び出そうとして結婚式場まで行きました。
これを先程の 『もの』 と 『こと』 に当てはめるなら、菜子は電話で呼び出しているので目に見えない 『こと』 になり、徹は直接会って言葉でも伝えているので目に見える 『もの』 と目に見えない 『こと』 の両方と言えると思います。
本当の意味で 「持って成し遂げている」 のは徹の場合ですよね?喜翆荘でしっかりした料理を提供してしっかりした接客をするのと同じように、ちゃんと会って気持ちを伝えた。これこそ 『おもてなし』 の心です。
すれ違いになった孝ちゃんと対比になっている部分がなんとも切ないですが、お客様だけではなくて同じ旅館で働く者同士としてもしっかり対応出来ているということは大きな成長です。

もうひとつ、「表裏なし」 つまり表裏のない自分を出す意味でも花はもちろん、菜子や巴、蓮さんも 『おもてなし』 が出来ていたと思います。
そして民子が天ぷらを上手く揚げることが出来たのも 「表裏なし」 の自分でチャレンジしたから。また、花がまさか本当に徹を連れてくるとは思ってなかった。だから負けじと努力した部分もあるでしょう。

『なんとかする』 と 『なんとかなる』 は少し違います。『なんともしない』 のに 『なんとかなる』 わけありませんよね?『なんとかしようとした』 からそのあと 『なんとかなる』 わけで。
今出来る事を精一杯やったのは花だけじゃなくて、経営コンサルタントの崇子も次郎丸も方向性は違えど努力はした。その努力は目に見えなくてもお客様や女将にも伝わったはずです。
喜翆荘のみんなが努力したからお客様が満足出来た。ラストみんなで女将を出迎えた姿は、成し遂げた達成感と裏表のない表情にあふれた、まさに 『おもてなし』 と言えるものだったと思います。

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